谷の斜面を抜け沢に降りた。この間滝を3つほど巻いてきたらしい「ここからわは道がないから沢登りだから」と老人は言う。しかし 今まで歩いてきたところも道と呼べる様なものではなかったと思う。今度一人で来いと言われても、どれが道なのか判らないだろう。沢に降りて改めて上を見上げると、数十メートルの深い渓谷姿が感じられる。
ほとんど人は入って来ないだろう。
しばらく沢を歩き、また滝があるため山を迂回していく。その山道を歩いていると、杉の木の皮が剥げているのを見つけた。老人はそれを見つめて「あーこれは最近のやつだな。熊奴めー」えっ 驚いた。こんな所誰も来ないと思ったが、熊は来る。ここに来る途中、老人が「あすこに熊の穴がある」と言っていたが、たいして気にも留めなかったが、この杉のかわをバリバリと剥いだあとは不気味だ。熊に出会わないようにまわりを警戒して進む。しかし周りの木を見るとあちこちに熊の爪痕があるこの山には確実に熊の存在がある。山で起こる危険は色々あるが、山菜を採るという目的のためには多少のリスクはつきものだ。
そして最後の難所が待っていた。出発から2時間が経とうとした時「よす、あすこで採るぞ」と言い老人はリックを下ろした。と思ったらロープを取り出し木の根元に縛りつけ下の方に垂らした。「ここだけは足場が悪いからな」ロープの先を見ると、ゴゥンゴゥンと滝が流れている。 老人はロープを掴みさっさと行ってしまった。もう目の前は目 的地だ、最後の難関を慎重に歩く。真下の滝を氣にしながら何とかクリアした。そして老人の行った先を見ると雪だ。高さ5メートルはあるだろう雪渓が数百メートルは続いていた。「ほら」老人が指差した先は、まだ頭をだしたばかりのウドだった。
その周りにもコゴミや目的のアザミもたくさんあった。雪渓を眺めつつ山菜を採る。空腹を満たすおにぎりを食べ、又採る。帰りの事も考えずリックに詰め込む。
そして老人と二人、今度は重い重いお土産を背負い、 あの険しい道のりを黙々と歩き帰路につく。 今日の成果、アザミ30把。他。
おわり
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